臨戦

月光52号(2017/8/31発行) 

 

 

美しきAll for One 夕暮れはまこと血の色すべてに及び

 

血の色の属性捨てたしわが胸に流れていたる過剰なものよ

 

雷魚とう潜みたるものそのすがた見た者はなし、捨てたらどうか

 

ぬばたまの暗渠にひそむハンザキの唱えきたりし教育勅語

 

何ひとつ信ずべきもの見つからず降伏せよと空が落ちくる

 

空の青、雲の白さと凡庸な世界のために寝ころんでいる

 

花束をほどきゆく風それぞれの名前を明かす五月の中へ

 

六月のまなこ閉じればくちなしに腐れるほどの慈しみあり

 

しかしまた耐えられないのただ白く咲くだけの花の思想なんて

 

文月へ角を曲がれば点描のひかりの服にきみは着がえて

 

いっぱいの水をもとめる身体あり朝のひかり昼の木漏れ日          身体:からだ  朝:あした

 

佇めば立ちのぼるもの眺めれば消えゆくものの抒情をさがし

 

名付けてよわがフロントは花をだき歌をうたいて敵前にいて

 

もうなにも要りはしないの、ねえあなたわれとわが身が邪魔になるのよ