2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧
酩酊の階段降りれば娑婆に降る夜来の雨は口梔子堕とし
西陽入るセロのやふな部屋にをりピアノの石を採集してゐる まぶた揺れ目眩のやふな独り言「地から空へ弦を張りたい」
がらくたの遺棄した無念あらはにし遠くに聞こゆ太陽がいつぱい 遠雷は連れくる闇の天幕を一瞬裂きて我をさらしぬ
ひさかたの雨の終はりを告ぐあかねふいに含羞肩に積もりぬ
頑是無い我れの上にも朝は降り寄る辺ない夜さよならをする
洗濯を干す夕暮れに陽はあかし不如意の空に法はありたり
初夏に向け君のTシャツ洗へども一人称で泡は消へゆく
硝子の眼何を観てると風の問ふ伽藍の中の紅く散る花
薫風に樹樹点描に揺らめいて我の思念も光の中へ
我といふ役降りがたし幻のエンドロールを背に受けながら
頬杖の先にあるものくゆらせて我が暗澹は虚空に転ず いちにちを生きて美とせむ朝の水蛇口といふ不吉を捻り 空の空果てあることの悲しみを舞うことでしか蝶は語らぬ