2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

おのまとぺ

夏といふ暮れぬ一日そらぞらと持ち越すものも捨て去るものも 手のひらで豆腐を切ればふるふると金魚のやふにボウルに逃げをり

題詠「あいうえお」

あいうえお、にくいし、くつう鼻濁音消へて母音の美しい国

初夏

まだらなる麦わら帽は木洩れ日を噛み殺しをり夏の鼻先

題詠「朝」

君われを罪とは言はず悲しみと真綿やふに告発す 朝

腐りゆくもの

みずからの香りに自死し口梔子は風にまみれて夜に腐りぬ

題詠「ぶらんこ」

受け切れず君のささやき落下する刹那言葉の空中ぶらんこ

文月朔日

薄暗きパソコンともし蛍雪の死語ゆたかなり文月朔日

題詠「頬」

ユモレスク頬づえもの憂く熱を帯びあめあめふれふれ口ずさむ午後 慢心に貧すれば鈍し頬ずりのペコちゃん人形抱いて寝てをり