2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

二十三首

見つめつつ祈りのかたちに手を合はす生命線のすこしずれをり 金木犀くしやみする猫われとまた秋のさなかに身を置くひと り 猫の影われの影などながながと等価となりし西日の中に 群れなさず一本のみのため息も花でありけり緋の曼珠沙華 ときどきは風を伝へる…

十三首

長月の朔は雨のなかにあり流さずにゐし涙かぞへり さやうなら舟はゆきたり九月へと祈り祈ればひぐらしの鳴く 聖九月あをの高みへ舟をだしなにも望まずをりたかりしを 浮き橋を越へてゆきたる長月の移ろふだけのわれも愛さむ やはらかき九月の森を越へてゆく…