2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧
風吹くな煙草くゆらす君のため火葬煙突天までまっすぐ
軽々と仲間と我は呼べずいて縁繋がりし哀惜に暮れ
不燃性分別できぬ悲しみを捨てる日はなし文字にうずめる
主人なき柱時計のぜんまいを逆さに巻けばぽつねんと部屋 主人 = あるじ
ひさびさに祝いのサボテン陽にあてりとげとげしくも酒捨て二年 サボテンは西へ西へ育ちをり青青波打ち彼岸まで
枕もと明日へ続きを書き溜めて読経のごと唱える朝を
償いと少しの賞賛織り交ぜて我への手紙夜に封じよ
悲しみの捨て場所街にすでになく下水工事のそばを過ぎゆく
一切を捨て切ることも諦めて朝、昼、晩の一汁一菜
逆縁に陽だまりありて腰かけし老婆ははにかみ爪を噛みをり
光合す葉脈彷徨う子供らは食虫の蜜壷に落ちたり
うみと聞き海と見遣れば発語する冥府の母の流れ着きしに
正の項正気正常正義とか縁なき言葉まがまがとあり
[不在]といふ居場所見つけて陽の溜るストランゲーデ30番地
初春の野に吹きすさぶ喉笛の警笛鳴りて水鳥の飛つ飛つ = たつ
偏頭痛何に偏り世を惑う分け入る道も標なき襞
後戻りでき得ぬものの糧としてナイフはありし明日を研ぎゆく
ハメルンの笛吹き男たりらりら鼠を追って猫も帰らず
あけおめやことよろなどと略されてパンストそよぐ元日の風
人生の勝利者であれと塾は言うドアトゥドアの送迎バス