2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧
この風とこのはなびらとこの思ひはらはらといふ言葉があつて
もくれんの浄土かなわずさくらさくうたげの園に悪意抱く午後 ゆきやなぎ雪崩れてゆきて午後悲し露光オーバーの春を生きたり うとうとと水琴窟に落ちてゆく真白き部屋の点滴の午後 陽光の不安の中をさまよえば蚊柱の輪にふふと分け入る
目覚めればすべての夢は性的と君は言いつつ口紅を塗る フロイトの夢判断の遣る瀬なし空飛ぶ我も性の俘虜なり
木蓮は陽に向かわず天上へめいめい白く瞑想してをり
DNA 伝え終えれば酔いどれて二重螺旋を転がる夕べ 敗戦のボクサーのごと我は立ち両肩に積もる螺旋の雪 否否、戦いなどはなかったのだ 叱責不問不様に逃げて 逃げ失せることなどできずにキッチンで大根一本一枚に剥く
黎明の飲酒夢にがく目覚めれば陽は天上に饐えてゆく午後 飲酒夢を覚めればひとつワンカップ鉢植えとして窓際に置きぬ
不寛容 奪回すべき聖地には死屍累々と空が積もりて
白煙は山の火葬場たおやかにキャミソールの紐すべりゆきたり
唐突に角を曲がれば消えていく記憶があって直立の既視
ベランダで Tシャツを干す晴天の弥生朔日白旗を上げ