2013-01-01から1年間の記事一覧

十三首 (思ひ出)

まな板に鯉のいつぴき腐りをり西日のなかの旋律ひくし 忘却はかなはずにあり常しへに添ふて降りたる花ちらしの雨 膀胱のからつぽになりたるしあはせを老荘思想と嘯きてをり ああこれがすずかけの道あつらひの思ひ出恋ふる日暮れも来たり この道をしまらく行…

十八首

サブリミナル効果のごと夕 やけに向かひて人は「 実 は 」と言へり 胸に手を当てれば脈のかさこそと枯れ葉いちまいおちてゆきたり 十年ののちを思へば十年の歳月ありや日は暮れゆけり きのふへの夜へともどる階梯に腰をかけをるわれに会ひたり 雲よりも低く…

落ち葉を拾ふ

霜月の旅に出るためマフラーのほつれをかがる言葉えらびぬ 杖をつきコンと鳴りたる夕ぐれに地球空洞説をわれは思へり 制覇とふ祝祭あるらしドーナツの穴から見やる街のパレード まだ紅葉の少なかりける秋の日の足ふきマットの赤のウェルカム 「中身のない人…