霜月の旅に出るためマフラーのほつれをかがる言葉えらびぬ
杖をつきコンと鳴りたる夕ぐれに地球空洞説をわれは思へり
制覇とふ祝祭あるらしドーナツの穴から見やる街のパレード
まだ紅葉の少なかりける秋の日の足ふきマットの赤のウェルカム
「中身のない人ね」。そうでございます、山ほどのクスリ忘れずに飲む
急く心 掃ききよめられ集められ燃やされてゆけ空のたかみへ
陽の射さぬけものの道に灯りたるツワブキの黄の訴へを見つ
陽だまりを連れてるやうな友なりき月命日も冬に入りたり
落葉を対で拾へるわれであれ、いちにん、いちまいと落ちてきたれば
新しき手帳を求めし帰りみち過去になりゆく日の風を受く