2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

北原ミレイ

FMから震える鉛の船が出る北原ミレイ石狩挽歌

胸に澱薬剤のごとつもりゆき暗きへ傾ぐ分銅天秤

子供の自殺

イヤホンからニュース流れて死にゆく児スピーカーに換え冷蔵庫に入れ

スイッチ

心には千のスイッチ眠りをり不安暗澹ブレーカー落とす

正義に酔う人

君の説く正義は酒のごとくあり馥郁たる嘘に酔いたりし

寝つかれず

風のない夜には耳を救いなき朝には眼宙に浮かべて眼=まなこ 宙=そら

思ひ出

保育所の帰り吾子が月を指し夜の階段と言ひ 登りぬ

伴侶

七寸に君の肌着をたたみをり十文七分の観念持ちて

月光

月光が部屋の隅々積もりをり白、玄、青、朱と埴輪を作りぬ

心と身体

お気楽に等身大で生きると言ふその肉叢の手強き闇

文化の日

無味無臭消し去ることが緩解か文化の日には野を焼く匂い

野良犬を見ることもなき公園で餓死したる児の記事を読んでいる 小糠雨レインコート着たる犬衣食足りて子らは死にをり

やや回復

鶏頭のコスモスよりも首ひとつ高く燃えをり秋も誇らし

最中

かさかさと鉛筆の音乾きをりまま文字となり言葉悲しも