リフレインする夏
月光53号(2017/11/25発行)
くりかえす後悔ひとつ鳥のよう手なずけ放つ夏の高みへ
ああ、ああと雷雲あおぎ後ずさる青のきりぎし空のきざはし
遠雷へ胸をひらいて眠る午後たれもかれもが子どもにもどり
気がつけばひかりは満ちてこんなにもさよならばかりしてきた夏に
刻まれた名前の奥にとどくよう光はふりぬ光はふりぬ
影が延びいつものように名を呼ばれ一人ひとりが消えてゆきたり
消えてゆく炭酸水の「気」の部分、ああ残念なんて嘘をつき
かき氷ひと匙こぼしまたこぼす不器用なきみにも秘密ができる
戻れないぼくを知るとき夕ぐれに素足は染まり何を失くした?
それは羽、そして夕ぐれいち日を失くして明日は夕立がくる
ランニング、半ズボンから伸びる四肢ぼくは展翅版を買いに行く
ピン抜けば翅を散らして四枚の蝶となりたる夏の恋あり
炎天の思い出ばかり吾の影は真下にありて一枚はがす
無防備の思いが焼ける炎天にきみ立ちのぼり夏はいよいよ