2014-08-30から1日間の記事一覧

一人受く

天高くボールを投げて一人受くいつか逝く日を知るかのように そこかしこ蝉のなきたる森を出でひとつ命は惜しまれいたり 後悔をにれかみており青空も雨へとかわる雲を引きおり 爪を噛み見るものなべて不安なるルドンの花を壁に認むる 風はゆき明日にそよぐ葉…

終活

はなびらの肩をよせあうさらさらと謀など話しおりたり かたばみの恋に気づけどもうすでに閉じて閉じられ言葉はなくて 思い出はクローンのようにわれに似たご都合ばかりを懐妊したり 「永遠」と名付けてあげるウナセラディ消えゆくものだけ求めていずに 佇め…

ウサギのような加湿器

放埓を生きしのち君さざんかの散って無惨と言うことはなし 平穏な暮らしであればきみを抱く朝もなかりき水準器を置く アルコール依存、脊髄増殖性腫瘍と不治の病を二ついただく 玉子かけごはん食べおえ血液400cc捨てにおもむく 火、金とハイドレアカプセ…

星は流れる

晩秋の風のすぎゆくほろほろと落ち穂拾いの言葉を生きよ 北向けばあばらを過ぐる霜月の風をはらみてほつれし釦 冬を告ぐ花であるらし水仙の歌が聴こえるひとりがふたり 押印のごと街を染めたる夕焼けのその日はたれも禁を犯さず つむじかぜ一周おくれはたれ…