七首

採血のまなぶた閉ぢるつかのまに子供とかへるうしろの正面



さびしさを糸でかがればかぎ裂きのかたちしてをり棘のあるらし



朝からの雨降りやまずあさがほの枯れたる蔓のいまだ絡めり



まだ若く巡り会ふべき人たちを知らずに弾きし春のオルガン



ふたつみつ街の灯ともり始まりか終はりか知れぬ家路につかむ



朝刊の訃報欄から見るならひ二年まへから始まりにけり



蜩をいちども聞かず晩秋の風のうたこそ悼みであらめ