即詠歌六首


面の皮一枚のみの体温が世界と分かつ冬のわが位置



川に沿ふ道をゆきたるイヌやネコ不安といふはそのやうなもの



一日を始めるために髪あらふその潔癖をわれは疎みぬ



きみに寄すためらひつつの言の葉を繁れる森は受け入れずあり



街が凪ぐ夕日を浴びて整然とならぶ塔より声明聴こゆ



ゆくのだよ山羊が宙とぶ青の夜にシャガールとはエロスの別名