その他


口ずさむWINE & ROSES飲み込めば何を糧とす天津乙女



なしくずす生もあらむとただ一人ひらく雨傘ひくき曇天



この夜に帰る列車よわが胸を過ぎ行かざれば挽歌かなわず



サイレンに遠声しぼる犬のごと吠えたきときあり灯ともしころ



目覚めると部屋に太古の時つもり棘皮のやふに朝焼けの紅



濡れるごと萎れて落ちてゆく花の白にかさなる春の陽のかげ



こうもりが飛び交っているよこの夜に なくしたものは時間の名前



いさかいをうとみ飲み干す昼酒の気付けばいっしょう黄のヒヤシンス



西陽射す妙に明るきホームにて片足の鳩各停待ちをり




殺されて殺して終はる幕間劇コンビ ニといふ狂気の終夜




雨の朝さくらあくたの坂道を避けるすべなしつま先だちぬ