更新を怠っていた歌

ふつふつと日が暮れるまで眠るまでタートルブルース聞いておりたり



昨日から頭の中の路地裏で縄跳びをする少女眺めて



踏切を渡る夕暮れ吾の中の鳥撃ち落とし巣を家とせむ



震えるもの天から下ろすを弦と言ふ祈りあまねく音楽となる



鳥が飛ぶあの高さから自らを見降ろしている空仰ぐとき



風に揺れ人のため揺れ電線になりたき路地に詮ない夕暮れ



雪虫の口に入るを気に留めぬ喪服の女とすれ違いたり



我が黒のセーターに舞う雪虫は煙草のけむりと消えてゆきたり



掘るべきは横穴縦穴日が暮れて梅田地下街風の吹きこむ



見送ればわが心臓のプラットホーム夜行貨物の眠ることなし



本を読むきみの視線をぬすむ午後罪ひとつ溶けさめゆく紅茶



残照は言い訳のごとますぐなる抱擁ながく沈みゆく影



君と皮膚二枚へだてて冬空のショールをまとい川沿いを行く