2007-08-26 母歌 燃やすため一輪にぎるこの右手母はそのため吾を生まざるを 形而下に朽ちゆく身体を畏れつつわれ母を二度葬らむとす 形而上葬らむと添い寝するドライアイスの母は冷たき 路地裏をキリコのやうに帰りくる少女見おろし母も小さき 「きれいや」と漏れし遺言神々し母の眼を持て逝く陽を送る 崩れゆく母の頬にもあかねさし紅玉の紅かくにも腐し 夕照を孕みし母のホスピスで金の林檎を我は剥きをり