いつの言葉か

月光56号(2018/9/30発行) 

 

 

日々はゆく核ののちのち月蝕を迎えていたり睦月尽日

 

何ならん赤銅の月過ぎてなおわたしの胸に重く浮かべり

 

寒雷か地鳴りかと思う郷愁がざあああーっと襲いくる午后

 

あの日から日々は不可逆垂直の背を望まれて向日葵はあり

 

灯をともす黄の花々の喜びを抱えきれずにさらに春めく

 

立ちすくむ感覚が脚に残ってるそれからの生の補助線を引く

 

生まれたる不安も夢もすぎてゆく影に呑まれるわれらの欠片

 

青年の胸板うすくはじかれし月のしずくを供物となして

 

 

 

遠吠えを聴かなくなりし冬空の月きわまるとはいつの言葉か