七曜歌


月光のきざはし昇る帰りみち明日におもねる答えは捨てて         明日:あす



うなされて起きてまた寝る月曜の戦場にかかる橋を渡らず



緩やかな楕円をえがく火の星の紅とマニキュアきみを見つける



まだまだだやる気のでない火曜日のコーヒー自販機うなりをあげる



わが星が水の惑星なら水星はなに星ならん宇宙の一滴           惑星:ほし  宇宙:そら



息継ぎのターン美し水曜へ伸ばした腕の指先のさき



ホルストの右脳の果てを思いつつ眼閉じおりジュピターまでを       眼:まなこ



「だいじょうぶ」数値示され木曜の机をはさみ相対したり



明星は独りを写すピンホール天に向かいて人ならびおり



おざなりの仕事をおえて金曜の路地へと消えし男の猫背



外輪のしじまに留まるヤママユを纏いて立てりサートゥルヌスは



土曜日は通院と心得しかばけんけんぱ石ころ一つ拾ってゆかん



日輪の沈み昇りて同じ日にふたたび会えぬ歌を聴きおり



昼までをだらだら寝ており日曜の篠突く雨にくじけておるよ