雲おもき水底の空ああわれは息継ぎ下手の生きものなるよ
そぼ濡れてをるわが肌に虹色の山椒魚は這ひあがりきぬ
雨ばかり風吹くばかりの休日は「紅の豚」を繰り返し見つ
雨上がりきみは知らずやおのおのが虹の根本となりたることを
風つよく切り捨てられない心根のよわき日にこそ文をしたため
罵詈雑言 耐へて明日の夕ぐれはひらがなのごとほどけゆかんよ
ひよつこりと顔をだしたるあまんじやく甘い水など受け取らずにゆく
口ずさみし懐メロこそ口惜しけれ場末のバーに似合ふことなど
ほんたうのほんとの歌を聴かせてよこれから先は小さな人生
秋といふ誘惑の日の繰り返しくりかへしを出で丘にたちをり