2014-01-03から1日間の記事一覧

月鞠十四号 「虹の根本」

雲おもき水底の空ああわれは息継ぎ下手の生きものなるよ そぼ濡れてをるわが肌に虹色の山椒魚は這ひあがりきぬ 雨ばかり風吹くばかりの休日は「紅の豚」を繰り返し見つ 雨上がりきみは知らずやおのおのが虹の根本となりたることを 風つよく切り捨てられない…

絵画のやうに + 1

あかあかと接吻交はしクリムトの崩れゆきたるのうぜんかづら 接吻:くちづけ 大いなる地下水脈を抱くごとく弄ばれし果てのピアニシモ きみといふ稜線たどり終はりなむ爪先までの西陽をうけて ワイシャツは縞の模様に染まりけりブラインドとふその場しのぎの …

朝のメール 七月、アルコール依存症の仲間から余命十カ月とのメールが届く

暖簾とふ結界ありしが酔ふほどに頭をたれる無頼でありき 無頼とふ呼び名もらひし吹きだまり猫のいつぴきシャツに包みつ

二十六首

炎天に堂々と降る蝉しぐれ赦しを待てる嘆きにあらず 影のごとゴマダラカミキリ飛び去りて地上すれすれの空の残れり 木洩れ日はやさしかりけり来し方を問はずにあそぶ手のひらの上を 真夏日のごみステーション雷雲を映して立てる姿見ひとつ 恋初めし文月うた…